FXの専門用語である「証拠金、必要証拠金、有効証拠金、余剰証拠金、証拠金維持率」。それぞれ同じ「証拠金」という名称がついていますが、それぞれ何が違うのでしょうか。
FX取引プラットフォームであるMT4/MT5にも、各証拠金が表示されており、FXをする上で証拠金の理解は必要不可欠となります。
この記事では、「証拠金、必要証拠金、有効証拠金、余剰証拠金、証拠金維持率」のそれぞれの違いについてご紹介します。
目次
証拠金とは
証拠金とは、FX取引業者へ担保として預けるお金のことをいいます。FX業者により呼び方が異なり、預託証拠金や保証金、担保金ともいわれます。
MT4やMT5に表示あれた「残高」が「証拠金」となります。
[残高]=[証拠金](保証金/担保金/預託金)
担保で預けた証拠金を元に、レバレッジをかけて取引をすることができるのです。
XMは、最大レバレッジ1000倍を提供しているので、残高(証拠金)の最大で1000倍の金額を売買できることを意味します。
必要証拠金とは
必要証拠金とは、取引するための最低限必要な証拠金のことをいいます。
最低限必要な資金なわけですから、必要証拠金以上のお金をFX取引業者へ預け入れる必要があります。「 証拠金 > 必要証拠金 」
どのくらいの量を取引するかにより、必要証拠金額が変わってきます。
必要証拠金の計算方法
[約定レート]×[取引通貨単位]×[数量]÷[最大レバレッジ]=[必要証拠金]
自分がFX取引業者へ預け入れた資金(証拠金)以内でFX取引をする必要があるので、必要証拠金がいくらなのかを上記計算式にて計算する必要があります。
海外FX業者の場合は、必要証拠金が定額で決まっているわけではないので、売買前に簡単に計算して確認した方が良いでしょう。
必要証拠金の計算例
計算条件
ドル円の為替レートが110.00円のときに約定(新規注文)
XMStandard口座で1ロット(10万通貨)の量を取引
最大レバレッジ1000倍
[約定レート]×[取引通貨単位]×[数量]÷[最大レバレッジ]=[必要証拠金]
[110.00円]×[100,000通貨]×[1ロット]÷[1000倍]=[11,000円]
以上の計算により、ドル円110円のときに10万通貨を注文した場合、必要証拠金は11,000円になることが分かります。
つまり、口座残高(証拠金)は、最低でも11,000円以上ないと取引できないという意味になります。
毎回細かく計算するのは面倒なので、「ドル円なら1ロット取引で15,000円くらい必要」というように、大体の金額を覚えてしまえば簡単です。
また、XMで用意している必要証拠金計算ツールを利用すれば、簡単に必要証拠金を算出できるようになります。
関連サイト XM公式 必要証拠金計算ツール
有効証拠金とは
有効証拠金とは、証拠金(残高)に現在保有中のポジションの合計評価損益を加減した金額をいいます。
例えば、残高が10万円で取引中のポジションが5千円の損失になっているのなら、9万5千円が有効証拠金として自動的にMT4/MT5に表示されます。
上記MT4の画面は、残高94,514円に対し評価損益合計が28,677円出ているので、123,191円の有効証拠金があります。
有効証拠金の計算方法
[証拠金(残高)]+[評価損益]=[有効証拠金]
有効証拠金の計算例
計算条件
証拠金(残高)が10万円
取引中の評価損益合計が -1万円
[証拠金(残高)]+[評価損益]=[有効証拠金]
[100,000円]+[ -10,000円]=[90,000円]
以上の計算により、証拠金(残高)が10万円でも評価損益合計が1万円の損失が出ている場合、有効証拠金は9万円になることが分かります。
余剰証拠金とは
余剰証拠金とは、新規注文に利用可能な証拠金のことをいいます。
有効証拠金から取引中の合計必要証拠金を差し引いた計算で求められ、後どれくらい新規取引に使える資金(証拠金)が残っているかを表しています。MT4/MT5に自動的に表示されています。
余剰証拠金の計算方法
[有効証拠金]-[取引中の合計必要証拠金]=[余剰証拠金]
有効証拠金の計算例
計算条件
証拠金(残高)が10万円
取引中の評価損益合計が53円(スプレッド含め)
「(有効証拠金)99,947円」=「10万円」-「53円」
必要証拠金合計が445円
[有効証拠金]-[取引中の合計必要証拠金]=[余剰証拠金]
[99,947円]-[445円]=[99,502円]
以上の計算により、有効証拠金が99,947円で取引中の合計必要証拠金が445円の場合、余剰証拠金は99,502円になることが分かります。
証拠金維持率とは
証拠金維持率とは、必要証拠金に対する有効証拠金の残高の比率をいいます。
証拠金維持率が高い程リスクは低くなり、証拠金維持率が低い程リスクが高くなります。XMの場合、証拠金維持率が20%以下になると強制ロスカットが執行される仕様です。
証拠金維持率もMT4/MT5に自動的にリアルタイムで表示されています。
証拠金維持率の計算方法
[有効証拠金(資産合計 + 評価損益 – 出金依頼金] ÷ [必要証拠金合計] × 100 = [証拠金維持率]
証拠金維持率の計算例
計算条件
有効証拠金10万円
ドル円の為替レートが110.00円のときに約定(新規注文)
XMStandard口座で1ロット(10万通貨)の量を取引
最大レバレッジ1000倍
[有効証拠金(資産合計 + 評価損益 – 出金依頼金] ÷ [必要証拠金合計] × 100 = [証拠金維持率]
[100,000円] ÷ [11,000円(10万通貨 × 110円 ÷ 1000倍)] × 100 = [909%]
以上の計算により、有効証拠金が10万円で必要証拠金合計が11,000円の場合、証拠金維持率は807.30%になることが分かります。
ちなみに、証拠金維持率909%は、「100,000 ÷ 909」の計算式により、実効レバレッジ110倍となります。
為替レートが変動する度に証拠金維持率も変動します。XMは、証拠金維持率が20%以下になると強制ロスカットになるので、証拠金維持率は1000%以上(実効レバレッジ80倍)以下にした方がリスクが抑えられます。
強制ロスカットされるまでの値幅の計算方法
[必要証拠金] × [強制ロスカット水準 20%] = [ロスカット基準額]
([有効証拠金] – [ロスカット基準額]) ÷ [取引数量]= [ロスカットされる値幅]
[約定レート] ± [ロスカットされる値幅]= [ロスカットされる為替レート]
ロスカットされるまでの値幅を計算するには、まず「ロスカット基準額」を計算した後に、有効証拠金と取引数量を考慮して算出します。
ロスカットされるまでの値幅を算出することで、今取引しているポジションがいくらの為替レートになると強制ロスカットになってしまうのかが分かるようになります。
強制ロスカットされるまでの値幅の計算例
計算条件
必要証拠金合計11,000円(10万通貨 × 110円 ÷ 1000倍)
強制ロスカット水準20%
有効証拠金10万円
取引数量10万通貨
[必要証拠金] × [強制ロスカット水準 20%] = [ロスカット基準額]
[11,000円] × [20%] = [2,200円]
([有効証拠金] – [ロスカット基準額]) ÷ [取引数量]= [ロスカットされる値幅]
([100,000円] – [2,200円]) ÷ [100,000通貨]= [0.978円]
[約定レート] ± [ロスカットされる値幅]= [ロスカットされる為替レート]
[110.00円] ± [0.978円]= [(売り注文の場合)110.978円]「(買い注文の場合)109.022円」
上記計算により、新規注文して約定した価格から「0.978円」損失の方向へ動くと強制ロスカットになることが分かります。
例えば、110.00円で買い注文をしていた場合は、109.022円(110.00 – 0.978円)になると強制ロスカットになります。反対に110.00円で売り注文をしていた場合は、110.978円(110.00 + 0.978円)になると強制ロスカットになります。
各証拠金の違いまとめ
「証拠金」= FX業者へ預け入れるお金(残高に反映)
「必要証拠金」= 取引に最低限必要な証拠金
「有効証拠金」= 証拠金に合計評価損益を加減した金額
「余剰証拠金」= 新規注文に利用可能な証拠金
「証拠金維持率」= 必要証拠金に対する有効証拠金残高の比率
各証拠金の違いと計算式をまとめてご紹介しましたが、「証拠金、必要証拠金、有効証拠金、余剰証拠金、証拠金維持率」は、取引プラットフォームのMT4やMT5の画面下に自動的に表示されているので、自分で計算する必要はありません。(スマートフォンやタブレット端末用のMT4/MT5は、「トレード」タブから各証拠金表示を確認できます)
ただし、必要証拠金については、取引前に簡単に計算した方が「思っていたより多い量を取引してしまい証拠金維持率が低くなってしまった!」というようなリスクを抑えることができます。
必要証拠金の計算は自分で簡単に計算できますが、XMが用意する専用の必要証拠金計算ツールを利用しても良いでしょう。各証拠金の意味を理解し、安全な取引を心がけましょう。